動画編集は、クリエイティブなスキルを活かして収入を得られる魅力的な副業です。しかし、編集技術だけでは副業を成功に導くことは正直難しいです。実際に成功を収めるためには、ビジネススキルが重要な役割を果たします。編集スキルとビジネススキルのバランスを図ることで、動画編集の副業での収入をさらに安定させる可能性があります。この記事では、動画編集の副業で成功を収めるために欠かせない3つのビジネススキル：マイマネージャースキル、セールススキル、コミュニケーションスキルについて詳しく解説していきます。
Udemyで動画制作の講師として活動しております。（Premiere Pro認定プロフェッショナル/国際認定資格保持者）
「動画制作の理解を深めてくれたらうれしいなぁ」と思いながら、一人でひっそりと運営中。
1. マイマネージャースキル
マイマネージャースキルとは
マイマネージャースキルとは、自分自身をマネジメントする能力のことです。具体的には以下のような要素が含まれます。
- 自分の単価設定
- スケジュール管理
- 案件の取捨選択
- 作業効率の最適化
- 長期的なキャリアプランニング
なぜマイマネージャーが必要か
副業を始めたばかりの頃、多くの人が自分の単価を決めることに戸惑います。会社員の場合、給与は会社が決めるものですが、副業では自分で決める必要があります。この過程で、自分の価値を過小評価してしまう人が少なくありません。
低単価の仕事ばかり受けていると、以下のような問題が発生する可能性が高くなります。
- メンタルの消耗：自分の労力に見合わない報酬に対するストレス
- 作業効率の低下：モチベーション不足による集中力の欠如
- スキル向上の機会損失：単純作業の繰り返しによる成長の停滞
- 副業としての持続可能性の低下：収入と労力のバランスが取れない状態
これらの問題を避けるためには、自分とは別の人格として「マネージャー」を作り出し、客観的に自分の仕事を管理することが重要です。
マイマネージャーとしての考え方
- 自分の編集スキルは一旦忘れる：
現在の自分のスキルレベルにとらわれず、理想的な仕事の姿を描きます。 - 友人に仕事を依頼するつもりで考える：
「もし自分の友人にこの仕事を依頼するなら、どのような条件が適切か？」という視点で考えることで、より客観的な判断ができます。 - 適切な単価と作業量を設定する：
市場相場を調査し、自分のスキルレベルや経験に見合った単価を設定します。また、無理のない作業量を見極めることも重要です。 - 無理な案件は断る勇気を持つ：
短期的な収入よりも、長期的なキャリア形成や健康を優先することが大切です。 - 定期的な自己評価と目標設定：
3ヶ月ごとなど、定期的に自分の成果を振り返り、次の目標を設定します。
マイマネージャースキルの実践例
例えば、YouTube用のショート動画編集の案件を考えてみましょう。
- 案件内容：30〜60秒のショート動画編集
- 提示単価：1本1,500円（手数料引後1,230円）
このような案件に対して、マイマネージャースキルを用いて以下のように考えていきます。
- 作業時間の見積もり：1本あたり2〜3時間
- 時給換算：410〜615円
- 要求される品質：テロップ、エフェクト、トランジションなどの要素が多い
- 期待される成果：ファン化につながる魅力的な動画
次に、これらを総合的に判断し、以下のようなことを考えます。
- 交渉により単価を上げられるか確認（例：1本2,500円以上）
- 単価アップが難しい場合は、作業効率を上げるための方策を検討（テンプレート作成など）
- それでも採算が合わない場合は案件を断る
このように、客観的な視点で案件を評価し、自分のキャリアと収益性のバランスを取ることが、マイマネージャースキルの本質です。
2. セールススキル
セールススキルの重要性
セールススキルは、案件を獲得するための営業力です。どんなに優れた編集スキルを持っていても、それを活かす案件がなければ意味がありません。ここでも、編集者とは別の「営業マン」としての人格を作り出すことが有効です。
効果的なセールス方法
- クラウドソーシングサービスの活用：
- Crowdworks
- Lancers
- VideoWorks
- その他、動画編集に特化したプラットフォーム これらのサービスを利用することで、多くの案件に出会える機会が増えます。ただし、競争も激しいので、自分の強みを明確にアピールすることが重要です。
- SNSを使った営業：
- 様々なSNSを活用することで、直接クライアントとつながる機会を作れます。定期的に自分で作った動画をSNSで共有してつながりを広げていきましょう。
- 個人ウェブサイトやポートフォリオサイトの作成：
自分専用のウェブサイトを持つことで、プロフェッショナルな印象を与えられます。ここに作品や実績、得意な動画編集のジャンルなどの詳細を掲載しましょう。 - ネットワーキング：
オンライン・オフライン問わず、業界イベントに参加し人脈を広げることも重要です。直接の案件獲得だけでなく、情報収集や市場動向の把握にも役立ちます。
魅力的なポートフォリオの作成
ポートフォリオは、あなたのスキルと実績を視覚的に伝える重要なツールです。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 実力の2-3割増しのクオリティを目指す：
現状の100%ではなく、120-130%の力を込めて作品を作り上げます。これにより、潜在的なクライアントにあなたの可能性を示すことができます。 - 多様性と一貫性のバランス：
様々なジャンルや手法の作品を揃える一方で、あなたの独自のスタイルや強みが一貫して感じられるようにします。 - ビフォーアフター：
可能であれば、編集前と編集後の映像を比較できるようにします。これにより、あなたの編集がどれだけ価値を付加できるかを明確に示せます。（カラーグレーディングを強めに付けると明確な差が生まれやすいです。） - 技術的な解説：
単に作品を並べるだけでなく、各作品で使用した技術や工夫した点について簡潔な解説を加えます。これにより、あなたの技術力と思考プロセスをアピールできます。 - 実績の掲載：
過去のクライアントからの評価や、仕事の成果（例：視聴回数の増加、コンバージョン率の向上など）があれば、積極的に掲載しましょう。 - 定期的な更新：
ポートフォリオは常に最新の状態を保つようにします。新しい作品や、新たに習得したスキルを随時追加していきましょう。（私はだいたい1年ごとに更新しています。）
セールスにおける心構え
- 積極性：
案件を待つのではなく、自ら機会を作り出す姿勢が重要です。 - 粘り強さ：
営業活動は即座に結果が出るとは限りません。継続的な活動が重要です。 - 学習と適応：
成功した営業方法と失敗した方法を分析し、常に改善を図ります。 - 顧客志向：
自分のスキルをアピールするだけでなく、クライアントの課題解決にフォーカスした提案を心がけます。 - フォローアップ：
一度仕事を完了したクライアントとも定期的にコンタクトを取り、リピート案件や紹介案件の獲得を目指します。
3. コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルの重要性
クライアントとスムーズにやり取りを行い、プロジェクトを円滑に進めるためのスキルです。優れたコミュニケーションスキルは、クライアントとの信頼関係構築、作業効率の向上、そして長期的な取引につながります。
コミュニケーションのコツ
- プロデューサーとしての立場で対応する：
自分を編集者ではなく、プロジェクト全体を管理するプロデューサーとして捉えます。これにより、より客観的かつ戦略的なコミュニケーションが可能になります。 - クライアントの要望を俯瞰的に捉える：
表面的な要求だけでなく、クライアントの本質的なニーズや背景にある課題を理解するよう努めます。 - 明確かつ簡潔なコミュニケーション：
専門用語を避け、クライアントにも理解しやすい言葉で説明します。また、重要なポイントは箇条書きにするなど、視覚的にも分かりやすく伝えます。 - 積極的な提案：
クライアントの要望に単に応えるだけでなく、あなたの専門知識を活かした改善案や新しいアイデアを積極的に提案します。 - 期待値のマネジメント：
プロジェクトの開始時に、成果物の内容、納期、修正回数などについて明確に合意しておきます。これにより、後々のミスコミュニケーションを防ぐことができます。 - 定期的な進捗報告：
特に長期プロジェクトの場合、定期的に進捗状況を報告します。これにより、クライアントに安心感を与え、また途中での方向修正も可能になります。 - 修正依頼への対応：
修正依頼は感情的に受け止めず、プロジェクト改善の機会として捉えます。ただし、大幅な修正や当初の合意外の作業については、追加の予算や納期の調整を提案することも必要です。 - フィードバックの活用：
プロジェクト完了後、クライアントからフィードバックを得るようにします。これを次の仕事に活かすことで、継続的な成長につながります。
難しい状況でのコミュニケーション例
クライアントとなるお客様とのコミュニケーションが、うまくいかない場合の対応策を紹介します。
- クライアントの要求が不明確な場合：
「○○についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか？具体的には、どのような効果を期待されていますか？」 - 無理な要求がある場合：
「ご要望の○○については、現在の予算と納期では難しい面があります。代替案として、××のような方法はいかがでしょうか？」 - 作業量が増えた場合：
「新たにご要望いただいた○○の作業については、当初の見積もりには含まれていません。追加の予算として××円ほど必要になりますが、いかがでしょうか？」 - クライアントの反応が遅い場合：
「プロジェクトの品質と納期を守るため、○月○日までにご確認いただけますと幸いです。もし難しい場合は、納期の調整をさせていただきたく存じます。」
別人格を使い分ける重要性
マイマネージャー、セールスマン、プロデューサーとそれぞれの役割に応じた人格を使い分けることで、より効果的にビジネスを進められます。これは単なる演技ではなく、それぞれの役割に必要なマインドセットを身につけ、状況に応じて最適な対応を取るためのテクニックです。
例えば：
- マイマネージャーとして案件を評価する時：冷静かつ客観的に、収益性とキャリア形成の観点から判断
- セールスマンとして営業する時：積極的かつ自信を持って、自分のスキルと価値を主張
- プロデューサーとしてクライアントと接する時：全体を俯瞰しつつ、クライアントのニーズに寄り添う
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、少しずつ実践していくことで、それぞれの役割を自然に使い分けられるようになっていきます。
まとめ
動画編集の副業を成功させるためには、編集スキルだけでなく、ビジネススキルも重要です。マイマネージャー、セールス、コミュニケーションの3つのスキルを意識的に磨いていくことで、より安定した副業として確立できます。
